権限・設定・ルールの3つで、AIは回り出す。福岡 RAMEN TECH 2026 で、現在のAppTalentHubの実例を話してきました

パネルに並んだ登壇者4名。左から坂田さん、宮崎、柳本さん、司会の松尾さん

福岡で、50分のパネルに出てきました

10月9日、福岡の大名カンファレンスで、RAMEN TECH 2026 のパネルに登壇してきました。テーマは「生成AI時代、地域の中小企業・アトツギはどう変わる?」。福岡・佐賀、京都、長崎、そして岡山・愛媛から、立場の違う4人が集まって話す回です。

会場のスクリーンに映ったRAMEN TECH 2026「生成AI時代、地域の中小企業・アトツギはどう変わる?」の告知バナー
会場のスクリーンに映ったRAMEN TECH 2026「生成AI時代、地域の中小企業・アトツギはどう変わる?」の告知バナー

僕の会社は、社員2名です。中小企業向けのAI研修と、FolderOS という自社のAIツールを作っています。

で、このパネルで僕が決めていたことは1つだけでした。

概念じゃなくて、実例だけを話す。

「AIを使いましょう」「組織で使うのが大事です」。正しいんです。でも、地方の経営者の方がそれを聞いても、「結局AIを使おうってことか」で終わってしまう。なので、自分の会社とお客さんのところで本当にあったことだけを話しました。

この記事は、その中身です。

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会場で手を挙げてもらったら、2〜3割でした

最初の質問は「生成AI、実際みんなどこまで使ってる?」。

地方の答えは、正直、ほとんど使っていない、です。岡山や愛媛の研修でも、毎回手を挙げてもらうんですが、少ない。

なので、福岡の会場でも聞いてみました。

「Claude Code や Codex を、もう仕事で使っている方はどのくらいいますか?」

ぱらぱら。2〜3割でした。

スタートアップのイベントの会場でこれです。AIの名前は知っている。でも、仕事の中にはまだ入っていない。これが今のリアルだと思います。

一方で、僕の会社は朝から晩まで、ほとんどAIで仕事をしています。その話は、あとで。

大名カンファレンスでのパネルの様子。スクリーンにセッションの案内が映り、登壇者4名が並ぶ
大名カンファレンスでのパネルの様子。スクリーンにセッションの案内が映り、登壇者4名が並ぶ

未経験の社員が、AIで仕事できるまで6か月かかった

2つ目の質問が、「AIが定着する会社と、入れたけど使わなくなる会社の違いは?」でした。

ここで、うちの社員の話をしました。

前の会社はエンジニアばかりの会社でした。で、今の会社を立ち上げたとき、AIにフルベットしたかったので、1つ実験をしました。

ITの経験がまったくない人が、AIだけで仕事をできるようになるまで、何か月かかるか。

わざと未経験の方を雇いました。40代の方で、Slack も使ったことがない。

結果、6か月かかりました。

やったことは3つだけです。

  • 権限:「この Google ドライブにあるものは、自由に見ていいですよ」
  • 設定:「書き込みや複製をするときの保存先は、全部ここです」
  • ルール:「決算書以外は全部入っているので、自由に使っていいです。分からなければ、まずAIに聞きましょう」

この3つが揃うと、AIはだいたい回り出します。

でも、最初は困るんですよね。分からないことがあると、僕に聞いてくる。「契約書の作り方が分からないんですけど」「お客さんから苦情が来てるんですけど」。

それ、聞く相手はAIですよね。

なので、画面の前で、僕が実際にやって見せました。「契約書を作って」と打つ。「お客さんがこう怒ってます。どう返したらいい?」と打つ。ほら、送信。

使っていいことと、置き場所と、聞く先。 これを決めて、目の前でやって見せる。そうすると、会社は回ります。

某会社では、「ここだけ」を決めて見せる

ものづくりをしている某会社でも、同じことをしています。

いきなり「AIを自由に使ってください」は難しいです。なので、生産工程に1か所だけ、AIを置きます。たとえば、タブレットで読み取ったものをAIが判定する場所。

で、「ここでこうやったら、AIが答えてくれます。エラーが出たら、それもAIに聞いてください」と、その場所だけ設定して、目の前で見せる。

自由に使って、ではなく、ここだけ。これだと現場の方もどんどん使ってくれます。

60歳の社長が、その場で100ドルのプランを契約した

3つ目の質問は、「中小企業はAIに慎重すぎるのでは?」でした。

これは逆で、僕が会う会社は、意外と慎重じゃないんです。

香川の研修には、お医者さんや工事会社の方が来ています。「じゃあ今から Claude Code をやりましょうか」と言うと、「分かりました」と、その場で100ドルのプランに入る。60歳くらいの社長さんが、普通にやるんです。

抵抗はない。足りないのは、使い方を見る機会のほうです。

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経営者の仕事は、朝の振り分けだけになった

じゃあ、僕自身はどう使っているか。

朝起きて、AIに「今日なにやる?」と聞きます。タスクが10個くらい出てきます。「よろしく」と言うと、AIがやってくれます。

ただ、量があるので、大きいものは別のセッション(もう1つ別のチャットを立てるイメージです)に分けます。「これは大きいから、あっちでお願い」「これは小さいから、2つ一緒にできるよね」。

僕が毎朝やっているのは、この振り分けだけです。

夜になると、「できました」が上がってきます。そこで日報です。

「今日はどのくらいの作業量だった?」
「人月単価でいうと、いくらくらいの仕事をした?」
「それを明日2割上げるには、どうしたらいい?」

これを聞いて、1日が終わります。

この話を地方ですると、意外とすっと入るんです。「あ、じゃあ」って。

注意するのは、2つだけ

もちろん、気をつけることはあります。研修で必ず言っているのは2つです。

1つ目は、無料プランや個人向けのプランで、会社の仕事をしないこと。 個人向けのプランは、入れたものが学習に使われる設定のものがあります。AIは、正直、お金をかけたもの勝ちです。セキュリティが絡むなら、なおさら。必ず法人向けのプランを使ってください。

2つ目は、パスワードや APIキーを、絶対に打ち込まないこと。 一度AIに出した情報は、取り返しがつきません。

あとは自由に使ってもらう。AIはゴールが分かれば、だいたい全部やってくれます。

「うちの顧客データを入れて大丈夫?」は、別の記事でくわしく書きました。

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そのデータ、どこに何日残りますか? 「うちの顧客データを入れて、大丈夫なんですか?」

「センサーを作って」から始まった、某会社のDX

もう1つ、話した実例があります。某会社です。今は、自分たちでアプリを作っています。

最初は、社長からこう頼まれました。

「商品をピッとやったら、判定して『これは1万円』『これは10万円』と値段が出るセンサーを作ってほしい」

翌日、作りました。ピッとやると「6,000円です」と出る。

1週間後。

「これ、どうやって使ったらいいんですか?」

で、話を聞いていくと、本当に要るのはセンサーじゃなかった。値段が出ても、それを入れる場所がない。いつもは Excel に打っていた。データを入れる場所がないと、センサーは機能しないんです。

なので、また翌日作りました。仕入れから、QRコードを使った販売まで、一続きで扱えるしくみ。1つ売れたら、在庫が1つ減る。

「ちょっと使えるな。でもここがダメだな」

ここから、この会社のDXが始まりました。そこから毎週、新しいアプリを出していって、センサーは捨てました。

ただ、そのときも、お客さんのクレジットカードの情報は入れない。ここは徹底しています。

最初の依頼どおりに作っても、使われないことがある。翌日に作って、使ってもらって、本当に要るものを一緒に見つける。それができるのが、AIで作る速さだと思っています。

50名を超える会社なら、まず「2名の単位」を作る

ここまで読んで、「それは2名の会社だからでしょう」と思った方もいると思います。

正直、そのとおりです。

権限・設定・ルールの3つがうまく回ったのは、僕1人でその場で全部決められたからです。見ていいフォルダも、保存先も、「決算書以外は全部OK」も、僕が言えば終わる。50名を超えると、この3つがそれぞれ別の人の承認になって、そこで止まります。

なので、大きな会社では、先に切ります。

  • プロジェクトごと:業務を1つ選んで、そのプロジェクトのフォルダだけをAIに渡す。決めるのはプロジェクトの責任者
  • 役員だけ:まず社長と役員が経営の判断に使って、効果を自分で知る

要するに、会社の中に「2名の会社」をもう一度作るイメージです。その中なら、ここまで書いたことがそのまま使えます。データの範囲が狭いので、セキュリティの承認も通しやすい。

ただし、切った外側の社員さんを放っておくと、個人のアカウントで隠れて使い出します。全員に、法人向けのプランと、さっきの2つの注意だけは先に配っておく。ここはセットです。

明日から1つだけやるなら、AIに聞いて、返す

最後の質問は、「会社の業績をあげるために、明日から1つだけAIで始めるなら?」でした。

僕の答えは、毎日1つ、困っていることをAIに聞くこと。 で、ここで終わらせないのが大事です。

  1. 困っていることをAIに聞く(日報の書き方でも、生産ラインの改善でも何でもいい)
  2. 出てきた案の中から、やれそうなものを1つやってみる
  3. 上司に「これ、AIが考えてきたんですけど、どうですか?」と聞く
  4. 上司の答えを、もう一度AIに戻す。「上司はこう言ったんですけど、この考えは合っていますか?」

これで、AIとのループがきれいに回り出します。

うちの社員も、3か月目くらいに、まだ僕に聞いてきました。「宮崎さん、契約書の下書きってどうやって書いたらいいんですか?」。

「いやいや、何でしたっけ?」
「……AIに聞くんですよね」

パソコンを出して、一緒にやる。人の癖は、なかなか抜けないんです。AIは何でもできると言われているのに、目の前の人に相談したり、自分の頭の中だけで考えたりしてしまう。

だから、ちょっとずつでいいので、AIに聞いて、返す。ここから始めてください。

終わってから

パネルに並んだ登壇者4名。左から坂田さん、宮崎、柳本さん、司会の松尾さん
パネルに並んだ登壇者4名。左から坂田さん、宮崎、柳本さん、司会の松尾さん

50分、あっという間でした。ご一緒した坂田さん、柳本さん、司会の松尾さん、そしてお声がけいただいた運営のみなさん、ありがとうございました。

実は、数年前にも福岡のイベントに登壇で呼ばれたことがあって、そのときは初日に体調を崩して、登壇せずに点滴を打って帰りました。なので今回は、ちゃんと話せてよかった。

マイクを持って話す坂田さんと、隣で聞く宮崎
マイクを持って話す坂田さんと、隣で聞く宮崎

岡山でも、同じように「使い方より、任せ方」の話をしています。

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社内のAI研修・導入、ご相談ください

株式会社AppTalentHubでは、今回お話ししたような「権限・設定・ルール」を決めるところから、社内のAI研修、業務アプリの開発まで、中小企業の現場に合わせてお手伝いしています。「まだ誰も使っていない」という段階でも大丈夫です。

参考:

この記事を書いた人

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ラピットくん

AppTalentHubのプロトタイプ開発担当AI。Claude Codeを相棒に、Webサイトの改善からアプリ開発、レポート作成まで何でもこなす。「まず作る、そして磨く」がモットー。