伊東で、2時間半やってきました
10月7日の午後、伊東市の三島信用金庫 伊東営業部で、AIの勉強会をやってきました。さんしん同友会の勉強会で、来てくださったのは伊東の会社9社・16名です。

ガス、建設、造園、運送、干物の加工販売、事務機器、小売。業種はバラバラです。半分くらいの方は「まだほとんど使っていない」。残りの半分は「もう使っている」。
無料で、Googleのアカウントがあればすぐ始められるので。
ゴールは1つだけにしました。
明日の書類を1枚、AIで早く終わらせる。
AIの説明を聞いて帰る会ではなくて、明日の朝に手が動く状態で帰ってもらう会です。

アンケートで多かったのは「信じていいの?」でした
事前のアンケートを、全部読んでから組みました。
いちばん多かったのが、「AIって正確なの? 信じていいの?」。次が「情報が漏れないか」。その次が「うちの仕事のどこに使えばいいのか、思いつかない」。
正直、ここは予想どおりでした。で、この3つは、ばらばらに答えると全部ぼやけます。
なので、最初に約束を3つだけ決めてもらいました。

- 下書きはAI、確認は人
- 保安・安全・法令の判断は、AIに任せない
- お客様の名前や住所、図面は入れない
「正確なの?」には、「下書きは得意、日付・金額・件数は苦手。だから確認は人」で答えます。
「漏れないの?」には、入れないものを先に決める、で答えます。無料の Gemini は、品質のために会話を人が読むことがあります。これは Google のヘルプにも書いてあります。
じゃあ使えないのか、というと、そんなことはありません。名前を「A様」に、住所を「市内の現場」に置き換えれば使えます。

会場では、全員で同時にGemini アプリ アクティビティをオフにしました。これで会話が学習に使われなくなります。6分。ここは、事前の打ち合わせで金庫の方から「最初の設定と、情報漏洩しない方法を教えてほしい」と言われていたところです。
でも、入れないと練習になりません
ここで困るのが、これです。
自分の会社の書類を入れちゃダメ。でも、入れないと練習にならない。
なので、伊東にありそうな会社を1社、まるごと作りました。

株式会社たらい設備。伊東の水まわりと温泉の設備屋さんです。旅館の温泉配管と保守、別荘の冬の水抜き、ご家庭の水まわり。社長は2代目で、去年から赤字。AIを使っているのは若手1人だけ。
もちろん架空です。名前は、松川のたらい乗りから取りました。
この会社の手書きのメモ、苦情のメール、値上げのFAX、見積、売上表、決算の要約。ぜんぶ作って、zip で配りました。会社のホームページまであります。
架空の会社の書類なら、全部 Gemini に入れていい。安心して、本物そっくりの仕事を一通り試せる。帰ったら、同じ頼み方を、名前を置き換えた自社の書類でやる。
今日いちばん伝えたかったのは、ここでした。
この「架空の会社をダウンロードして、一緒に直す」形は、新居浜で作った建設会社の版もあります。
毎晩30分の清書が、1分になりました
全員共通のお題は3つです。僕が1つ打つ → みんなが同じものを打つ → 答えを見比べる。これを繰り返しました。
お題1は、手書きのメモを日報にする。
ベテランの職人さん(もちろん架空)が書いた作業メモの写真と、会社の日報のひな形を入れて、「この書式で日報にして」と頼みます。たらい設備では、事務の方が毎晩30分かけて清書していた仕事です。
10秒で出ます。
ただ、ここで大事なのが、頼む言葉の最後の一行です。
「読めない字は推測せず『(判読不能)』と書いてください」
これを書かないと、AIはそれらしい字を勝手に埋めます。だから、出てきた日報の時刻と部材の数は、メモと見比べてもらいました。
あと、「AIに上手に頼むコツ」の答えも、ここで出ました。見本を渡すこと。 言葉で説明するより、いつもの書式を1枚入れたほうが早い。

お題2は、別荘のオーナーさんからの苦情に返信する。
下書きが出たら、「もう少しやわらかく」「年配の方向けに」と頼み直します。何回直させても、AIは嫌な顔をしません。1回目で完璧を狙わない。
ただし、「明日の午前中に伺います」と約束するかどうかは、人が決めます。AIは、決まったことを文章にするのが仕事です。
お題3は、仕入先の値上げFAXを見積に入れる。

FAXの画像と見積を入れて、「値上げの対象を探して、新しい見積にして」。正解は、合計が税抜で40,260円増える、です。FAXには「据え置き」の部材もあって、それまで上げていたら間違い。
ここは、必ず電卓で1行だけ確かめてもらいました。 合っていれば、明日からこの仕事は5分です。
後半は、自分の会社で
後半は、業種ごとに4つの島に分かれて、自分の仕事でやってもらいました。もちろん、名前と金額は置き換えて。
- ガスの島:お客様に渡す点検の説明文を書かせて、そのあと「この文章で事実と違うかもしれないところは?」とAI自身に疑わせる
- もう使っている島:Gemini の「Gem」で、自社の文体を覚えた「わが社のお知らせ係」を作る
- 建設・造園の島:話し言葉で今日の現場を打って、日報と、明日の朝礼で読む危険予知の3行にする
- 運輸・小売・食品の島:Excel の表を、来月の会議で使う1枚のまとめにする。店頭のPOPを3案出す
最後に各島から1名ずつ、作ったものと「会社のどこで使えそうか」を2分で発表してもらいました。
差がつくのは、知識より回数です
まとめは、これでした。

- 明日:業務を1つ選んで、AIに頼む。まず1回
- 今週:毎日15分。同じ業務で続ける
- 今月:社内や、今日の島の仲間と、うまくいった頼み方を見せ合う
それと、会社で広げるなら、ルールを決めるのは現場ではなく経営です。社員の方は、今日うまくいった頼み方を1つ、上司に見せて「こう使いたい」と言ってみてください。ルールは、現場の1つの成功例から始まります。
最後の1分だけ、その先の話もしました。僕が普段使っているのは、Claude Code のような「フォルダごと渡して、仕上げまでやってもらう」AIエージェントです。ただ、今日の Gemini はその基礎です。まずは無料の Gemini を毎日使うところから。
この「答えるAI」と「仕上げるAI」の違いは、岡山でも話しました。
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終わってから
終了後のアンケートは、まだ3件ですが、満足度の平均が5点中4.7でした。
「現状で効率化できるものを探して、その方法を探りたい」
「今後は積極的に使っていきたいと思いました」
こういう声をもらえたのは、素直にうれしい。

三島信用金庫さんとは、今年2月の伊東市ビジネスプランコンテストで「三島信用金庫賞」をいただいたご縁があります。その伊東で、今度は地元の会社のみなさんとAIの話ができました。
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ご参加いただいたみなさん、それから会場と準備を整えてくださった三島信用金庫 伊東営業部のみなさん、ありがとうございました。
伊東は、海も川も近くて、いい街でした。始まる前に、海沿いを2時間ほど歩いてきました。松川の河口は、1604年に三浦按針が日本で最初の洋式帆船を造った場所です。新しいものを、この街で最初に造った人がいた。その街で、AIの最初の一歩の話ができたのは、ちょっと縁を感じています。
社内の勉強会、ご相談ください
株式会社AppTalentHubでは、今回のような社内・団体向けのAI勉強会を、業種に合わせた架空の会社を作ってお届けしています。「無料のAIから始めたい」「情報の扱いのルールから決めたい」という段階でも大丈夫です。
参考:

