支払い履歴を開いたら、上がっていた
先日、レンタルサーバーの料金が高いな、と思いました。
なんとなくの体感です。明細をちゃんと見たわけじゃない。でも気になったので、支払い履歴を開きました。
比べてみると、こうなっていました。
| 同じ36ヶ月契約で比較 | 月額 | 3年総額 |
|---|---|---|
| 2023年に契約したとき | 880円 | 31,680円 |
| いまの価格 | 1,320円 | 47,520円 |
880円が1,320円。3年で1.5倍(+50%)。3年で15,840円の増加。これが値上げの実額です。
体感は当たっていたわけですが、3年で5割とは思っていませんでした。
業界全体を、1年分並べてみた
うちだけの話なのか気になったので、主要どころの直近1年(2025年9月〜2026年9月)を並べました。各社の公式告知を確認した、2026年9月6日時点の情報です。
| 事業者 | 動き | 実施 | 内容 |
|---|---|---|---|
| ヘテムル | 値上げ | 2026/1/5 | 全プラン改定 |
| ロリポップ! | 値上げ | 2026/1/5 | 全プラン改定 |
| CORESERVER | 値上げ | 2026/7/1〜 | V1・V2 全プラン改定 |
| エックスサーバー | 実質値上げ | 2025/12/1 | 1・3・6ヶ月の自動更新割引を廃止 |
| XServer VPS | 値上げ | 2026/9/1 | 全プラン。2GB年契約は月1,170円→1,540円 |
| ConoHa | 名目変更 | 2026/7/1 | 「サービス維持調整費」を廃止。請求総額は据置か値下げ |
| さくらのレンタルサーバ | 改定なし | — | 直近の改定は2024年4月。この1年は動いていない |
| mixhost | 値下げ | 2025/4/22 | 新規・更新とも値下げ。月495円のライトプランを新設 |
※ 価格・改定条件は変わります。この表は2026年9月6日時点のものなので、判断される前に各社の公式ページで最新をご確認ください。出典は記事末尾にまとめてあります。
並べて意外だったのは、全社が上げているわけではないことでした。

さくらはこの1年動いていません。mixhost は下げています。ConoHa は調整費という名目をなくしましたが、「ご請求額が上がることはございません」と明記しています。
つまり「レンタルサーバーは値上がりしている」とひとくくりにすると、事実を外します。上げた会社と、上げなかった会社がある。 そして僕は、上げた側にいたのに気づいていなかった。
上げた会社の告知を読むと、理由はどこも同じで、AI需要によるサーバーコストの上昇でした。減る見込みのない理由です。
引っ越し先は、探すまでもなかった
そもそも、別のレンタルサーバーを既に契約していました。
会社のサイトを載せているサーバーです。マルチドメインもデータベースもメールアカウントも無制限。つまり追加費用ゼロで載せられる。
削減額は年2万円ちょっと。新しい契約を増やさずに済みます。
つまり、自分がもう払っているものを把握していなかった、という話です。
「あのサイトしか使っていない」は、間違いだった
引っ越すのは1サイトだけのつもりでした。あとは使っていない。そう思っていました。
サーバーの中を見ました。
| ディレクトリ | 容量 | 中身 |
|---|---|---|
| 移行対象のブログ | 3.0GB | WordPress・公開記事210本 |
| 旧事業のサイト | 1.6GB | WordPress+ハッカソン資料 |
| 制作物の置き場 | 744MB | 静的ファイル |
| 旧サイトA | 157MB | WordPress一式 |
| 旧サイトB | 111MB | WordPress一式 |
| デフォルトドメイン | 84MB | WordPress一式 |
合計5.7GB。WordPressが5つ。データベースが5つ。

念のためデータベースに接続してみました。全部つながりました。生きていました。
「使っていない」は正しかったんです。ドメインが向いていないので、外からは誰も見られない。でもファイルとデータベースは消えていなかった。
もしあのまま解約していたら、全部消えていました。
で、AIは何を速くしたのか
ここが本題です。
作業全体は深夜の3時間でした。「AIで一瞬」ではありません。
書きながら「一瞬でできました」と書きたくなったんですが、実際の記録を見たら全然違いました。正直に分けます。
速くなったのは、調査と検証でした。
- サーバーの中身を数分で把握(5.7GB、WordPress 5本、DBの生存確認まで)
- 移送したファイルの照合。49,493ファイル、1,747,914,380バイトが1バイトも違わないことを確認
- DNSの切り替えを、キャッシュではなく権威サーバーに直接聞いて確認
特に照合です。これを手でやる気にはなりません。だから普通は「たぶん大丈夫」で済ませる。その「たぶん」が消えたのが、いちばん大きかった。
速くならなかったものもあります。
- DNSの伝播(TTLが1時間。待つしかない)
- SSLの発行(証明書が出てから、さらにサーバー側の反映待ち)
- 管理画面の操作(ドメイン追加、データベース作成、SSL有効化。全部人間がやりました)
- 判断
判断は1つも減りませんでした。新しいサービスに移すか既存に統合するか。データベースのユーザーを分けるか使い回すか。残った4サイトを救出するか捨てるか。ここは最後まで人間の仕事です。

しかもいちばん大事な判断は、技術の話ですらありませんでした。「解約する前に、中に何が入っているか見る」。これだけです。
値上げが払わせた、本当のコスト
お金の話は単純です。年2万円ちょっと浮きました。
でも今回いちばん高かったのは、お金じゃありませんでした。
自分が何を持っているか、知らなかったことです。
- 引っ越し先のサーバーを既に契約していたのに、気づかず二重で払っていた
- 使っていないつもりのサーバーに5.7GB残っていた
どれも、値上げがなければ気づきませんでした。
もし値上げに気づかず自動更新を続けていたら、いつか解約するときに、5.7GBは静かに消えていたはずです。中身を確認しないまま。
値上げは、棚卸しを強制してくれたということになります。ありがたくはないですが。
対策は「安い会社を探す」ではなく「1つにまとめる」
ここが今回の結論です。
値上げのたびに比較サイトを開いて、安いところに乗り換える。これをやると、契約が増えます。 僕がまさにそうでした。1社と契約しているのに、もう1社にも払っていた。数百円の差を探している間に、まるごと1本ぶん余計に払っていたわけです。
比較より先に、いま持っている契約の中に空きがないかを見る。うちはそれで追加費用ゼロでした。共有サーバーはたいていマルチドメイン無制限なので、1契約に何サイトでも載ります。
集約が「重い作業」ではなくなりました
集約は、これまで「やったほうがいいのは分かるけど、こわい」の側にありました。
理由は作業量じゃありません。リスクです。「移して壊れたら困る」「中に何が入っているか分からないから触れない」。だから触らずに、契約だけが残る。
ここが変わりました。
さっき、AIが速くしたのは作業ではなく調査と検証だ、と書きました。裏返すと、集約のリスクが下がったということです。49,493ファイルの照合が現実的になったから、「たぶん移った」ではなく「1バイトも違わない」と言い切れる。中身が分からないサーバーも、数分で棚卸しできる。
こわさの正体が消えたので、踏み切れます。値上げが止まらないなら、散らばっていること自体がコストです。
いまからやるなら、この順番
1. 契約を全部書き出す
サーバー、ドメイン、メール、SaaS。「たぶんこれで全部」ではなく、クレジットカードの明細から拾ってください。忘れているものは、だいたい明細にしかいません。
2. 支払い履歴を、いちばん古いところまで遡る
直近だけ見ても値上げは分かりません。3年前と比べて、はじめて1.5倍だと気づきました。比べるときは、同じ契約期間の価格で揃えてください。
3. 各サーバーの中身を数える
ファイルとデータベースは別々に。「ドメインが向いていない」は「データがない」ではありません。ここを飛ばすと、解約と同時に消えます。
4. 空きのある契約を1つ選んで、そこに寄せる
新しい引っ越し先を探すのは、既存の契約に全部載らないと分かってからで十分です。
5. 移したら、数えて照合する
ファイル数とバイト数を突き合わせる。「たぶん」で終わらせない。ここはAIに任せられます。
6. 元のサーバーは、すぐ消さない
契約終了日まで置いておく。うちは2027年3月末まで前払い済みだったので、自動更新だけ切って、期限まで無料のアーカイブとして使っています。解約を急いでも返金はありません。
数字の出どころ
この記事の数字は、実際の作業で取得したものです。
- 料金:契約中のレンタルサーバーの支払い履歴(2018年〜2026年)
- 容量・ファイル数:サーバー上で
duとfindを実行した結果 - DNS:権威ネームサーバーへの直接問い合わせ
- 他社の価格改定:各社の公式告知(2026年9月6日時点で確認)
他社の価格や提供条件は変わります。判断される前に、必ず各社の公式情報とご自身の契約内容をご確認ください。
サーバー代の値上げは、たぶんこれで最後じゃありません。AIの需要が減る見込みはないので。
ただ、値上げのたびに「安いところを探す」のは、もう合わないと思っています。契約が散らばったまま増えていくだけなので。数百円を比較している横で、まるごと1本ぶんを二重に払っていました。
やることは集約です。使っていないサーバーを、いま持っている1つにまとめる。
これまでは重い作業でした。中身が分からないものを動かすのがこわかったからです。そのこわさは、検証が効くようになったことで消えました。 数えて、照合して、1バイトも違わないと確認してから切り替えられる。
値上げに追われてからやるのか、追われる前にやるのか。中身は同じ作業です。僕は追われてからでした。ただ一度やってみて、インフラはいつでも見直せるものになりました。次の値上げが来ても、同じ手順で数えて、照合して、動かすだけです。
出典
料金改定(各社公式)
- ヘテムル 価格改定のお知らせ(2025/12/19告知・2026/1/5適用) — https://heteml.jp/info/detail/id/2839/
- ロリポップ! 価格改定のお知らせ(2026/1/5適用) — https://lolipop.jp/info/news/8046/
- CORESERVER サーバー価格改定のお知らせ(2026/7/1〜) — https://www.coreserver.jp/info/2026/0520.php
- エックスサーバー 短期契約の自動更新割引終了(2025/12/1〜) — https://www.xserver.ne.jp/news_detail.php?view_id=16855
- XServer VPS 利用料金の改定(2026/9/1〜) — https://vps.xserver.ne.jp/support/news_detail.php?view_id=19107
- ConoHa「サービス維持調整費」廃止のご案内(2026/7/1) — https://www.conoha.jp/surcharge/
- さくらのレンタルサーバ 料金改定について(直近は2024/4/1) — https://rs.sakura.ad.jp/column/rs/price-revision/
- mixhost 大幅値下げのお知らせ(2025/4/22) — https://mixhost.jp/news/1760
いずれも2026年9月6日時点で確認した内容です。 レンタルサーバーの価格改定は年に数回のペースで起きていて、この記事の表もすぐ古くなります。判断される前に、必ず各社の公式ページで最新の料金と改定予定をご確認ください。
なお本文では、僕が使っていたサービス名や移行先は伏せています。値上げの是非を論じる記事ではなく、契約が散らばっていたこと自体が問題だったという話なので、特定の会社の評価にはしたくありませんでした。上の一覧は、据え置き・値下げの会社も含めた事実の記録として載せています。
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