こんにちは! 今日は、あの落合陽一さん(筑波大学 / Digital Nature Group)がオープンソースで公開しているAIコーディングエージェント「co-vibe」を、実際にWindowsで動かしてみたレポートをお届けします。
GitHubからclone(ダウンロード)して、たった3ステップで使い始められるというお手軽さ。これ、ちょっとすごかったです。
co-vibeとは何か?
co-vibeは、ターミナル(黒い画面)から自然言語でAIに指示を出して、コーディングやファイル操作、Web調査などを行えるAIエージェントツールです。
特徴をざっくりまとめると:
- Pure Python・単一ファイル(約10,500行)・外部パッケージ不要 — pipで何かインストールする必要が一切ありません
- 4つのAIプロバイダに対応 — Anthropic(Claude)、OpenAI(GPT)、Groq(Llama)、Ollama(ローカルで動くAI)を横断して最適なモデルを自動選択
- 「研究者のための透明なツール」という設計思想 — Claude CodeやCursorのような商用ツールとは一線を画す
- MITライセンスで完全オープンソース — 誰でも無料で使えて、改変も自由
開発者は落合陽一さん。メディアアーティスト・研究者として知られる方が、自らの研究のために作ったツールを公開しているというのが興味深いですよね。
ここがすごい:3段オーケストレーション
co-vibeの一番の特徴は、タスクの複雑さに応じてAIモデルを自動で切り替える「3段オーケストレーション」です。
これ、わかりやすく言うと「簡単な仕事には安くて速いAI、難しい仕事には高品質なAI」を自動で使い分けてくれるということです。
- Strong(強力モード):設計やセキュリティ監査など高度なタスクに → Claude Opus、o3など最高性能のモデルを使用
- Balanced(バランスモード):一般的なコーディングに → Claude Sonnet、GPT-4oなどコスパの良いモデルを使用
- Fast(高速モード):簡単な質問やフォーマット修正に → Claude Haiku、GPT-miniなど安くて速いモデルを使用
さらに面白いのが「自己改善」機能。使い続けるほどタスクのパターンを学習して、モデル選択の精度がどんどん上がっていくんです。「このタイプの作業はBalancedで十分だな」と自動で判断してくれるので、無駄なコストが減っていきます。
「透明性」という設計哲学が新しい
個人的に一番刺さったのが、co-vibeの「透明性第一」という設計哲学です。
Claude CodeやCursorなどの商用AIエージェントは、非常に便利です。でも「なぜそのモデルを選んだのか」「なぜリトライしたのか」「裏で何が起きているのか」は見えません。いわゆるブラックボックスです。
co-vibeは違います。--debugフラグをつけて起動するだけで、全てのAPIコール、モデル選択の判断理由、ツール実行の詳細がリアルタイムで表示されます。
落合さんのポジションペーパー(研究論文)にはこう書かれています:
「観測できないものは理解できない。ブラックボックスのAIエージェントは”超自然的”な存在である。co-vibeは”自然的”な存在であることを目指す。その振る舞いは観測可能であり、理解可能であり、修正可能である。」
これは研究者の視点だからこその設計思想ですが、ビジネスの現場でも大事な考え方ではないでしょうか。AIが何をしているか分からないまま使うのと、仕組みを理解して使うのとでは、リスク管理の質がまったく変わってきます。
Windowsでも動いた!セットアップは驚くほど簡単
実際にWindows 11で試してみました。手順はたったこれだけ:
git clone https://github.com/ochyai/co-vibe.gitでダウンロードpython setup.pyでセットアップウィザードを実行(APIキーを入力)python co-vibe.pyで起動!
外部パッケージが一切不要なので、「pip installしたら依存関係でエラーが出た…」というPythonあるあるが起きません。これは本当にストレスフリーでした。
Pythonさえ入っていれば、macOS・Linux・Windows・Raspberry Pi、どの環境でも動きます。研究室のサーバーでも、自宅のPCでも、同じように使えるというのは大きなメリットです。
将来のビジョンがすごい — 「自律的な研究パートナー」へ
co-vibeが目指しているのは、単なるコーディングの補助ツールではありません。「自律的な研究パートナー」です。
ロードマップには、こんな未来が描かれています:
- 3Dプリンタやラボ機器のモニタリング・制御 — 長時間の3Dプリントジョブをカメラで監視し、異常を検知したら自動停止
- 論文サーベイの自動化 — arXivの新着論文を自動チェックして、関連性の高いものをピックアップ
- 長時間の自律的R&Dセッション — 朝に高レベルの目標を与えれば、1日中自律的に研究を進めてくれる
- 実験結果の自動解釈と次ステップの提案
これは落合さんの「計算機自然」(Digital Nature)という思想を、研究ツールのレイヤーで実践するプロジェクトでもあります。計算機と自然の境界が溶けて、AIが研究室の「生態系の一部」になるという世界観。壮大ですが、3Dプリンタの監視という具体的なユースケースから着実に進めているところがリアルです。
こんな人におすすめ
- AIエージェントの仕組みを理解したいエンジニア — ソースコードが1ファイルに全て収まっているので、AIエージェントの教科書的な読み物としても秀逸
- 複数のAIプロバイダを使い分けたい人 — OpenAIだけ、Claudeだけ、ではなく状況に応じて最適なモデルを自動選択してくれるのでコスト最適化にも
- Claude CodeやCursorの「中身」を知りたい人 — 商用ツールがやっていることの仕組みが、オープンソースで全部見える
- 研究開発で透明性のあるAIツールが必要な人 — 何をやっているか説明できることが求められる場面に
- Pythonの学習教材を探している人 — 標準ライブラリだけで本格的なエージェントが作れることの証明。「え、外部ライブラリなしでここまでできるの?」という驚きがあります
まとめ:AIの中身が全部見えるツールは貴重
AIエージェント時代が本格化する中で、「中身が全部見える」ツールの存在は貴重です。
商用ツールの便利さと、オープンソースの透明性。両方を知ることで、AIに対する理解の深さ — つまりAIリテラシー — が確実に上がります。
落合陽一さんのような研究者が、自分の研究ツールをオープンソースで公開してくれること自体が、AIコミュニティにとって大きな価値です。「AIエージェントってどう動いているの?」という疑問を持つ全ての人に、co-vibeはその答えを見せてくれます。
気になった方は、ぜひGitHubからcloneして試してみてください。Pythonが入っていれば、3分で動きます。



