最近、クライアントとの会話で、ある共通のテーマが頻繁に話題に上ります。
「うちの営業チームにも、実践的なAI研修を受けさせたい」
「Geminiをどう使えば、日々の営業活動が楽になるんだろう?」
といった、非常に具体的な声です。
こんにちは、AppTalentHubのツバサです。
この記事を見ている人には、いまさらですが、2025年のIDCによると、国内のAIシステム市場は2024年に前年比56.5%増の1兆3,412億円に達し、2029年には4兆円を超えるという驚異的なスピードで成長すると予測されています。AIのマーケットは確実に増えます。
で、今回は、その中でも、なぜ営業が増えたんだろう?という点で、深堀をしていきたいと思います。例えば、AIセールスエージェント「アポドリ」が、受注率を3倍に引き上げたり、このあたり最近ホットな話題ですよね。
この現場質問にリンクするようにm、世界の最先端を走るスタートアップアクセラレーター「Yコンビネーター(YC)」の採択企業リストにも、同じ兆候が少しですが、現れています。
シリコンバレーの最先端は「専門家AIエージェント」が主役

今年のYC採択企業を見て感じたのは、特定の業務をこなす「専門家エージェント」として、次々とビジネス化されている点です。
具体的にどのような企業が採択されたのか、抜粋ですが見ていきましょう。
YコンビネーターAI関連注目企業リスト (*近年のバッチより抜粋)
企業名 | サービス概要 | 特徴 | 会社のURL |
Winter 2025 (W25) バッチ | |||
Splash | 防衛テクノロジー | 国境警備などを目的とした長距離航行が可能な自律型パトロールボート。 | https://splash9.com/ |
Tally | FinTech AI | 会計事務所向けに、監査などの反復作業を自動化するAIエージェント。 | https://tallyhq.com |
Abundant | AIサポート | AIエージェントが対応できない例外的なタスクを、人間のオペレーターが介入して処理するプラットフォーム。 | YC企業ページ |
Pickle | コミュニケーションAI | ユーザー本人そっくりの声や振る舞いをするAIクローンを生成し、コミュニケーションを代行する。 | https://www.pickle.com |
Summer 2024 (S24) バッチ | |||
Agentin AI | エンタープライズAI | 企業の基幹システム(ERPなど)内で、データ入力やプロセス実行を自動化するAIエージェント。 | https://www.agentin.ai/ |
Red Barn Robotics | 農業ロボティクス | 農場向けの雑草除去ロボット。”畑のルンバ”とも言えるソリューション。 | https://www.redbarnrobotics.com |
Verbiflow | CRM AI | リードの特定から商談の割り当て、進捗管理までを自動化するAIネイティブなCRM。 | YC企業ページ |
Nox Metals | 製造業 | ソフトウェアと自動化を駆使し、CNC加工用の金属材料を迅速かつ低コストで提供する。 | https://noxmetals.co/ |
Blue | AIアシスタント | スマートフォンのあらゆるアプリを音声で操作可能にする、新しい形の音声アシスタント。 | YC企業ページ |
Winter 2024 (W24) バッチ | |||
Bluebook | FinTech AI | 建設業界に特化し、請求書処理や会計業務を自動化するAIプラットフォーム。 | https://getbluebook.com |
Toothy AI | ヘルスケアAI | 歯科医院向けに、保険確認や請求業務といったバックオフィス作業を自動化する。 | https://www.toothy.ai/ |
Kestral | セールスAI | 顧客からのフィードバック(議事録、チャット等)をAIが分析し、開発タスクの優先順位付けを自動化する。 | https://kestral.team/ |
AthenaHQ | マーケティングAI | 企業のブランドがChatGPTなどの生成AI上で適切に発見・表示されるように支援する。 | https://www.athenahq.ai/ |
世界の潮流と日本の現場はシンクロするほど距離が短く

「シリコンバレーの話はすごいけど、まだ先の話でしょう?」 そう思われるかもしれません。
しかし、私が日々現場で感じているのは、このYCで起きていることと、日本のビジネス現場で起きていることが、今まさにリアルタイムで共鳴し始めている、という事実です。
私たちが「営業AI研修」のご相談をいただく背景には、「Kestral」が解決しようとしているような「営業活動の生産性を上げたい」という切実な悩みがあります。
お客様が「Geminiの使い方」を知りたいと思うのは、「Verbiflow」が目指すように、リードの特定や情報収集といった面倒な業務から解放され、もっと創造的な仕事に時間を使いたいと願っているからです。
これらは、2025年9月時点でもGeminiのプロンプトを工夫すれば「DeepResearch」のような機能で代用できますが、多くのビジネスパーソンがそこまで使いこなせているとは言えないのが現状です。
現実、私の研修企業でも数時間講義をしただけでは、1か月後には「たまにAIを使うくらい」のレベルで落ち着いていることが多いです。
だからこそ、一時的な研修だけでなく、YCのスタートアップが提供するような「専門家AIエージェント」を導入したり、継続的にサポートしたりすることが、AI活用の成否を分けるのです。
間違いなく、YCで起きているトレンドは、日本の市場にも響くテーマと言えるでしょう(言語の壁は考慮すべきですが)。顕著なのは営業部門です。なぜなら、そこが最も早く、そして明確に投資対効果(ROI)を出せる場所だからです。
すでに日本国内で、AIは具体的な成果を生み出し始めています。
例えば、J:COM社がコールセンターの会話要約にGeminiを導入し、月間1,500時間もの作業時間を削減した事例。あるいは、冒頭でも伝えましたが、ある企業が導入したAIセールスエージェント「アポドリ」が、受注率を3倍に引き上げた事例。これらは、AIが日本の営業現場で、すでに決定的な差を生み出している現実を証明しています。
結論:躊躇している企業が、次の一歩を踏み出すために
今、日本のビジネス現場で起きていること、そしてYCが示す世界のトレンド。この二つを重ね合わせると、進むべき道は明確です。 まずは営業部門という最も成果の出やすい場所で、具体的な課題(例:議事録作成、アプローチ先の選定、提案資料の草案作成)を解決する小さな成功体験を積んでいきましょう。
AIを「相棒」にする時代へ。私たちに必要なこと
この風潮から、日本の市場を考えていきたいです。
私は、これからのビジネスパーソンにとって、AIは「使うか、使わないか」を議論する対象ではなく、「いかにして最高の相棒(コパイロット)にするか」を考えるべき存在になったのだと感じています。
YCのスタートアップが提供するような専門ツールを導入するにせよ、Geminiのような汎用AIを自分たちで育て上げるにせよ、その中心には必ず「使いこなす人間」がいます。
私たちAppTalentHubは、この変化の時代に皆さんが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、羅針盤のような存在でありたいと考えています。世界の最先端で起きていること、そして日本の現場で本当に求められていること。
その両方を繋ぎ合わせ、皆さんがAIという頼もしい相棒と共に、未来へ向かうお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。
この変化を、ぜひ一緒に楽しんでいきましょう。