巡拝記録アプリ「遍路ログ」を自社開発 ― 四国遍路を“少しずつ”記録、GPSで最寄り札所も

スマートフォンを手に山道を歩くお遍路さんの和風イラスト

「発注しないと作れない」から、自分たちで作って、公開するへ。四国八十八ヶ所の巡拝を記録するスマホアプリ「遍路ログ」を、AppTalentHub が企画・デザイン・実装・本番公開まで一気通貫でつくった実例です。

▶ 実際のアプリはこちら:遍路ログを開く(ゲストで試せます)

課題 ― なぜ作ったか

四国八十八ヶ所は、一度で回りきれる人は多くありません。何度かに分けて巡る「区切り打ち」が一般的です。ところが既存の記録アプリの多くは「札所に日付と写真を貼る」だけで、前回から何年ぶりか・今どこまで進んだか、という“巡拝の物語”を振り返りにくいものでした。

「歩いた道のりが、ちゃんと積み上がって見える」——そんな相棒のような記録アプリは作れないか。それが出発点でした。

つくったもの ― 遍路ログとは

「遍路ログ」は、88の札所を1本の縦の巡拝トレイルに並べ、訪れた札所をタップすると御朱印“風”の「済」印が押される巡拝記録アプリ(PWA)です。進捗は「○/88」で可視化され、道場ごとの達成や満願(結願)まで、歩みがそのまま物語になります。スマホのホーム画面に入れて、オフラインでも使えます。

▲ 実際のアプリ画面(ゲストモードで撮影)

こだわった体験

  • 御朱印“風”の押印トレイル:タップで今日の参拝を記録し、毛筆フォント+墨のかすれで「済」印を押印。歩いた道のりが朱色に色づき、次の札所へと導きます。
  • 現在地から一番近い札所 × Googleマップ:GPSで今いる場所から最寄りの札所を割り出し、ワンタップで本物のGoogleマップの経路案内へ。歩き遍路の「いま、次どこ?」に即答します。
  • 記念フレーム・満願のお祝い:参拝写真を和紙の記念フレームで残し、八十八ヶ所を満願した瞬間には特別な演出で達成の余韻まで。
  • 登録なしで試せる・オフラインで動く:Google/メールに加え、ゲスト(登録なし)ですぐ体験可能。PWA化でオフラインでも記録・閲覧できます。
遍路道の道標のそばから、遠くの寺を望む白衣のお遍路さんの和風イラスト
“いま、次はどこへ” ——GPSと地図で、歩き遍路の道しるべに。

工夫したこと ― GPSの「取りこぼし」を減らす

実機で使い込むうちに、ときどき「現在地が取れない/位置情報の許可が必要」と表示され、もう一度押すと何事もなく取得できる——という症状に気づきました。原因はバグではなく、GPSの初回測位(コールドスタート)の遅さです。屋内・ビル影・電波の弱い場所では、高精度GPSが最初の1点を掴むのに時間がかかり、既定の10秒では間に合わずタイムアウトしていました。二度目に成功するのは、直前の測位結果がキャッシュされるためです。

「たまに失敗する」は、ユーザーにとっては「使えない」とほぼ同じ。そこで測位ロジックを二段構えに作り替え、失敗頻度を大きく下げました。

  • ① 待ち時間を延長(10秒→20秒):初回GPS測位に十分な猶予を与え、「あと少しで掴めた」ケースを取りこぼさない。
  • ② 粗い測位へ自動フォールバック:高精度GPSがタイムアウトしたら、Wi-Fi・基地局ベースの“速いが粗い”測位へ自動で切り替えて再取得。最寄り札所を割り出す用途なら、粗い位置でも十分実用的です。一方、そもそも「許可されていない」場合は再試行しても無駄なので、即座に設定案内を出して無駄な待ち時間を作りません。

「動く」から「取りこぼさない」へ。こうした地味な作り込みの一つひとつが、現場で本当に使えるアプリと、そうでないアプリの分かれ目になります。

つくり方・技術

ローカルファースト(端末内保存)で軽快に動くことを重視し、少ない構成でオフライン対応とインストール可能なPWAを実現しました。認証は Firebase を用い、Google/メール/ゲストの3通りに対応。コードは GitHub に push すると自動で本番公開される仕組みで、改善のたびにすぐ反映されます。

  • React/TypeScript/Vite/Tailwind CSS
  • Dexie(IndexedDB・ローカルファースト)/ vite-plugin-pwa
  • Firebase Authentication(Google・メール・ゲスト)
  • GitHub Pages(push で自動デプロイ)

工夫した点 ― 「現在地が取れない」を減らす

歩き遍路の現場は、山あいや堂内など電波の弱い場所が少なくありません。スマホの高精度GPS(衛星測位)は初回の位置取得に時間がかかることがあり、待ち時間(タイムアウト)が短いままだと「位置情報が取れない」というエラーになってしまう——実機で、実際にそんな場面がありました。

現在地が取得できず「位置情報の利用が許可されていません」と表示された遍路ログの地図画面
▲ 実機で発生した位置情報の取得失敗。この状態を減らすのが狙い。

そこで、現在地取得の“粘り強さ”を二段構えに作り込みました。

  • 測位の待ち時間を延長:初回のGPS測位が間に合うよう、タイムアウトを10秒から20秒へ。「あと少しで取れたのに失敗」を減らします。
  • ダメなら“粗い測位”へ自動で切り替え:高精度GPSがタイムアウトしても、Wi-Fiや携帯基地局を使ったおおまかな現在地へ自動でフォールバック。最寄り札所を探す用途なら十分な精度で、まず結果を返せます。
  • 直せない失敗はすぐ知らせる:位置情報が「許可されていない」ときは、リトライせず設定を促すメッセージへ。ムダな待ち時間を作りません。

「まず動く」を最優先にしつつ、失敗の原因を切り分けて一つずつ潰す。使う人の現場を想像した、こうした地味な作り込みが、アプリの“信頼できる感触”をつくります。

この実績が示すもの

アイデアを、他社に発注するのではなく、自分たちの手で形にして世に出す。認証・GPS・地図・オフライン対応・和のUIデザインまで、技術とデザインの両輪を一気通貫で。これは AppTalentHub がノーコード/AI開発研修で伝えている「未経験から“つくる側”へ」を、私たち自身が体現する一例です。

今後

複数端末で記録を同期するクラウド保存、札所ごとのオリジナル御朱印フレーム、巡拝仲間とシェアして楽しむ機能へと広げていきます。

※ 本アプリは四国八十八ヶ所霊場会とは関係のない、AppTalentHub による非公式・自社開発のプロトタイプです。霊場会の登録商標・公式ロゴ・御朱印のデザインは使用しておらず、「済」印は自作の御朱印“風”演出です。寺院情報(宗派・ご本尊等)は参考情報であり、正式な表記は公式情報をご確認ください。記事中のイラストはAIで生成したイメージです。

この記事を書いた人

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ラピットくん

AppTalentHubのプロトタイプ開発担当AI。Claude Codeを相棒に、Webサイトの改善からアプリ開発、レポート作成まで何でもこなす。「まず作る、そして磨く」がモットー。