X Premium(月8ドル)以上のサブスクを持っているだけで、AI エージェントが使える時代になりました。さらに X の Search API(旧 Twitter 検索)も追加コストなしで叩けます。(2026/5/18時点)
今回は、Windowsでの設定方法を列挙していきます。

何が起きたのか
2026-05-16、Nous Research が Hermes Agent v0.14.0(コードネーム “Foundation Release”)をリリース。最大の目玉が xAI Grok の OAuth 連携です。
これまで Hermes でモデルを使うには、各プロバイダごとに API キーを発行し、別途従量課金が発生していました。今回からは違います。
- X Premium(月8ドル)以上のサブスクを持っているだけで、Hermes にログインして Grok を呼び出せる
- API キー発行は不要
- 追加課金も発生しない(サブスク料金のみ)
- 使えるのは Grok-4.3(コンテキスト 1M トークンに拡張)
「月8ドルのチャット用サブスクが、そのまま AI エージェントの動力源になる」という構造は、AI エージェント運用のコスト感を大きく変えます。
Hermes Agent とはそもそも何か
ひとことで言うと 「自分専用の AI 秘書を、自分のマシンで持つためのツール」 です。
| 観点 | Hermes Agent |
|---|---|
| 設計思想 | 常時稼働の AI 社員(24/7) |
| 記憶 | 自動で永続化(セッションをまたぐ) |
| 自己改善 | タスク完了後に「スキル」を自動生成 |
| 連携先 | Slack / Discord / WhatsApp / LINE / Teams / Email など 22 プラットフォーム |
| モデル | Claude / Grok / OpenAI / Llama など自由選択 |
| ライセンス | MIT(オープンソース) |
| 動作環境 | Linux / macOS / WSL2 / Termux / Windows(β) |
「コーディングに特化した Claude Code」とは隣接領域で、Hermes は業務全般の自動化・秘書役を担うイメージです。
v0.14 でここが便利になった
1. xAI OAuth ログイン(X Premium 月8ドルから)
キー管理から解放されます。X Premium(月8ドル)に含まれる Grok アクセスを、そのまま Hermes Agent にログインさせるだけ。SuperGrok(月30ドル)や Premium+(月40ドル)のような上位プランは、使用量が増えてきたら必要に応じて選べばよく、まず始めるなら Premium $8 で十分です。
2. Grok-4.3 が 1M トークン
長い議事録、規程集、コードベースを丸ごと食わせられる。「分割して要約」の手間が消える。
3. OpenAI 互換ローカルプロキシ
Hermes が OAuth で認証したプロバイダ(Claude Pro / ChatGPT Pro / X Premium・SuperGrok)を、ローカルの OpenAI 互換エンドポイントとして公開できる。Codex / Aider / Cline / Continue といった他ツールから、そのまま自分のサブスク経由で叩けるようになる。

4. PyPI で pip install hermes-agent に対応
インストール経路が標準化された。
5. クロスセッション 1 時間 Claude プロンプトキャッシュ
同じ前提を毎回ロードし直さない設計。コスト削減と応答高速化に効く。
6. メッセージング 22 プラットフォーム対応(LINE・SimpleX 追加)
LINE 対応は日本のスモールビジネスにとって大きい。社長の LINE が、そのまま AI 秘書の入口になる。
7. x_search — X(旧 Twitter)Search API がファーストクラス搭載
Hermes 標準ツールとして X の検索が組み込まれました。X Premium 以上の OAuth 認証なら、追加の API キーは不要。市場調査、競合の動向把握、自社ブランドのソーシャル・リスニングが、AI エージェントの日次タスクとして自動化できるようになります。
「Grok を呼べる」だけでなく、「X 全体の検索 API も同じサブスクで叩ける」のが xAI 連携の本当の強み。LLM とリアルタイム情報源がセットで手に入る構造になりました。
補足:X サブスク自体も手の届く価格を維持
あわせて X 本体の有料プランも 2026-05-18 時点で値ごろ感を維持しています。Web 版の場合:
- Basic:月3ドル
- Premium:月8ドル(2026-05-18時点)
- Premium+:月40ドル(2026年初頭に値上げ済)
つまり 月8ドルの X Premium ひとつで、X 本体の特典(広告削減・長文投稿・分析機能)に加えて Grok-4.3 アクセスと X Search API の OAuth 認証まで全部揃います。Hermes Agent と組み合わせれば、月8ドルでAI エージェントが常時稼働し、X 全体をリアルタイム情報源として使える構造になる。SuperGrok(月30ドル)や Premium+(月40ドル)は使用量が増えてからの選択肢で十分。「AI を雇う」初期コストが、スモールビジネスの月次予算で完結する時代になりました。
※ X Premium / Premium+ の最新価格は X 公式ヘルプ を参照してください。
Windows での設定方法
Windows ネイティブ版は β なので、現実的には WSL2(Ubuntu)経由が安定です。
それで設定していきましょう。
Step 1: WSL2 と Ubuntu を用意
PowerShell(管理者)で:
wsl --install
再起動後、Ubuntu 起動時にユーザー名・パスワードを設定。
Step 2: WSL の Ubuntu でインストール
WSL に入った Ubuntu シェルで:
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
source ~/.bashrc
依存(uv / Python 3.11 / Node.js 22 / ripgrep / ffmpeg)は全部自動で入ります。所要時間 5〜10 分。

Step 3: 動作確認
hermes version
hermes doctor
hermes doctor の出力が全行緑になれば OK。

~/.hermes/ 配下に住所付きで配置される。最後に source ~/.bashrc を流せばコマンドが通る。Step 4: 初期設定(Grok 接続)
hermes setup
対話ウィザードでプロバイダを選び、xAI Grok を選んでブラウザで SuperGrok にログインするだけ。これで完了。

Step 5: PowerShell から起動できるようにする(任意)
毎回 WSL に入るのが面倒なら、PowerShell プロファイル $PROFILE に:
function hermes { wsl -d Ubuntu -e bash -lc "hermes $args" }
これで PowerShell から hermes --tui で直接起動できます。
Step 6: 起動
hermes --tui
フォルダ経営の視点で見ると
弊社は「情報には住所がある/会社をファイルシステムで運営する」というフォルダ経営の考え方で会社を運営しています。その視点で Hermes を見ると、3つの示唆があります。
1. AI エージェントも「住所」を持つ時代
Hermes は ~/.hermes/skills/ 配下に自動で「スキル」を生成します。AI 秘書が自分で学んだ手順が、人間に読めるフォルダとして残る。「読める化」の対象が AI 自身にまで拡張された格好です。

~/.hermes/ 配下の住所構造。セッション履歴も、AI が自動生成したスキル(業務手順)も、人間が開いて読めるファイルとして並ぶ。「Company as a Filesystem」の発想と直結する設計。2. サブスク = 動力源、という割り切り
ChatGPT Pro / Claude Pro / X Premium・SuperGrok を「人間が会話で使うもの」と見なすか、「AI エージェントの燃料」と見なすか。Hermes v0.14 は後者の世界観を一気に押し進めました。1人経営者にとって、月8〜40ドルのサブスクが、AI 従業員の人件費になる。
3. LINE 入口は日本の中小企業にとって大きい
社長個人の LINE が AI 秘書の窓口になる。これは「業務システムを別途導入する」発想ではなく、既にある日常導線に AI を寄せる設計です。
Claude Code との使い分け

| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| コードを書く・直す・調べる | Claude Code |
| 業務を回す・予定を捌く・連絡を返す | Hermes Agent |
| 会社のフォルダを整える | Claude Code |
| 顧客や取引先と LINE/Email で受け答え | Hermes Agent |
両方を併用するのが、現時点のベストプラクティスだと考えています。
まとめ
- SuperGrok 契約者は OAuth ログインだけで Grok-4.3(1M)を AI 秘書として常時稼働できる
- Windows ユーザーは WSL2 経由がおすすめ (ネイティブも接続はできるが、安定しないとの投稿あり)
「AI を雇う」のハードルが、また一段下がりました。

