【開発No.2】アプリ開発っていったいいくら必要なの?~ノーコード vs 通常開発~

アプリ開発は、企業の成長に欠かせない要素ですが、開発手法によって費用や期間が大きく異なります。特に、近年注目されているノーコード開発は、従来のエンジニアによる開発と比較して、コストやスピードの面で大きなメリットを持つとされています。

本記事では、最新の市場データと事例をもとに、ノーコードと通常開発の違いを詳しく解説します。

1.ノーコード市場の急成長

世界的にノーコード市場は急速に成長しており、2024年のローコード/ノーコード開発の市場規模は約319億ドルに達すると予測されています(Gartner調査)。また、日本国内でも2023年度のローコード/ノーコード市場規模は812億2000万円(前年比+14.5%)と、年々拡大しています。

特に注目されているのは、アプリケーション開発の65%以上がノーコード/ローコードによって行われるという予測です。これにより、従来のエンジニア開発が主流だった市場が大きく変化し、開発の民主化が進んでいます。

2.開発費用・期間の比較

項目通常のエンジニア開発ノーコード開発
初期費用500万円~2,000万円50万円~500万円
ランニングコスト(月額)10万円~50万円(保守費用など)5,000円~2万円(ツール費用)
開発期間6ヶ月~1年以上1~3ヶ月

ノーコード開発の最大の利点は「開発期間の短縮」です。従来のエンジニア開発では、要件定義・設計・実装・テストといったプロセスが必要ですが、ノーコードならば1~3ヶ月でアプリをリリース可能です。

また、ランニングコストも大幅に削減できます。エンジニアによる開発では継続的な保守・アップデートが必要なため、月額の維持費が高額になる傾向がありますが、ノーコードの場合はツールのサブスクリプション費用が主なコストであり、運用負担が軽減されます。

3.ノーコードの成功事例

✅ Swiggy(インド) – フードデリバリーアプリ

インドの大手フードデリバリー「Swiggy」は、初期段階の開発をノーコードで行い、迅速な市場投入に成功。その後、サービスを拡大し、2022年には約950億円の資金調達を実現しました。

✅ リモートHQ(日本) – リモートワーク支援SaaS

日本国内でも、ノーコードで成功した企業があります。「リモートHQ」は、Bubbleなどのノーコードツールを活用し、わずか数ヶ月でサービスを立ち上げ。シリーズA相当の7億円の資金調達に成功しました(Bubble公式サイト)。

✅ ABABA(日本) – 新卒採用マッチングサービス

新卒学生と企業をつなぐ「ABABA」は、ノーコード開発を活用し、開発費を大幅に削減。現在では経団連にも加盟し、企業の新卒採用における重要なサービスへと成長しました。

4.なぜ費用の差が出るのか?

ノーコード開発と通常のエンジニア開発では、以下のような点で費用に大きな差が生じます。

  1. 人件費の違い: 通常のエンジニア開発では、プログラミング言語やフレームワークに精通したエンジニアを雇用する必要があり、エンジニアの給与は一般的に高額です。一方、ノーコード開発では、専門的なプログラミング知識が不要なため、開発者の単価が低く抑えられます。
  2. 開発工数の違い: ノーコードツールを使用すると、ドラッグ&ドロップで機能を組み合わせることができるため、設計やコーディングにかかる時間が短縮されます。これにより、工数が削減され、結果的に費用も低くなります。
  3. 保守・運用コストの違い: 通常のエンジニア開発では、開発後もコードの修正やアップデートのためにエンジニアを確保し続ける必要がありますが、ノーコード開発ではプラットフォームが自動でアップデートされるため、保守コストを大幅に削減できます。
  4. インフラコストの違い: 通常の開発では、サーバーやデータベースの構築・運用が必要になりますが、ノーコードツールではクラウド上のプラットフォームを利用するため、インフラの初期投資や運用コストが抑えられます。

5.ノーコードの課題と対策

ノーコードには多くのメリットがありますが、いくつかの課題も指摘されています

  1. カスタマイズ性の限界: 既存のテンプレートやプラグインの範囲内でしか開発できないため、高度なロジックや大規模システムには不向きな場合があります。
  2. ベンダーロックインのリスク: 特定のノーコードツールに依存すると、移行が困難になる可能性があります。
  3. セキュリティとコンプライアンスの懸念: ノーコードツールのセキュリティレベルは各プラットフォームによって異なり、企業のセキュリティポリシーに適合するか事前の検討が必要です。

こうした課題をクリアするため、開発初期はノーコードで迅速に立ち上げ、スケール段階で従来開発に移行する「ハイブリッド開発」を採用する企業も増えています。

6.ノーコードの未来と展望

ノーコードの成長は止まることなく、特に生成AIとの融合によってさらなる発展が期待されています。MicrosoftのPower Appsなどでは、自然言語入力でアプリを自動生成する機能が追加され、開発のハードルがさらに下がっています(Microsoft Power Apps)。

また、ガートナーは「2026年までに新規アプリケーションの75%はノーコード/ローコードになる」と予測しており、企業の開発手法が大きく変わる時代が到来するでしょう。


7.まとめ

ノーコード開発は、低コスト・短期間・高効率という大きな利点がある一方で、カスタマイズ性やスケーラビリティの課題も存在します。しかし、市場全体としてはノーコードの導入が急速に進んでおり、特にスタートアップや中小企業にとっては最適な選択肢となっています。

AppTalentHubでは、ノーコードツールの活用法や実践的な開発ノウハウの提供を通じて、企業が自走できる体制づくりを支援しています。

アプリ開発を検討している方は、ぜひノーコードの可能性を探ってみてください!

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