SendGrid無料プラン終了!代替サービスと移行のポイント

今回は、中小企業の経営者の方々、特にノーコードツール「Bubble」で事業を運営されている方々にとって、重要なニュースをお届けします。主要なメール配信サービスであるSendGridの無料プランが、2025年5月27日をもって終了することが正式に発表されました。*日本の構造計画研究所で契約しているプランとは異なるため、ご自身の契約は確認してください。この機会に海外で契約している人は、日本での契約に変更しても良いかもしれません。

「うちのシステムは大丈夫だろうか?」「何か影響があるのか?」とご心配の方もいらっしゃるでしょう。この記事では、この変更が皆さんのビジネスにどう影響するのか、そしてどのような対策を講じるべきかを、分かりやすく解説していきます。


SendGrid無料プラン終了の背景と具体的な影響

まず、今回の変更の概要からご説明します。

SendGrid無料プランは2025年5月27日に終了

SendGridを運営するTwilioは、無料のEmail APIおよびMarketing Campaignsプランを2025年5月27日に終了することを正式に発表しました。この日以降もアカウントは保持されますが、メール送信機能は停止します。

その後、60日間の猶予期間が設けられ、2025年7月27日頃にはメール送信が完全に停止し、100件を超える連絡先リストは削除されるとのことです。有料プランへの移行を検討しているユーザー向けには、2025年8月31日まで50%割引が提供されるとされています。

Bubbleの標準メール機能への影響は?

Bubbleに組み込まれている標準のメール送信機能は、今回のSendGrid無料プラン終了の影響を受けません。Bubbleは内部的にSendGridの共有キーを利用しているため、この変更による直接的な機能停止はありません

影響を受けるのは「SendGridの無料プランを直接利用していた」ユーザー

しかし、ご自身のSendGridアカウント(無料プラン)を取得し、そのAPIキーをBubbleのアプリケーションに設定してメールを送信していた場合、今回の変更の影響を直接受けます。具体的には、2025年5月27日以降、ご自身のSendGridアカウントからのメール送信ができなくなります。

なぜ今、対応が必要なのか?

「まだ先の話じゃないか」と思われるかもしれませんが、今から対応を検討することが非常に重要です。

  • 移行には時間がかかる可能性がある: 新しいメール配信サービスの選定、API連携の設定、既存ワークフローの変更など、システム的な対応には検証期間を含め、想像以上に時間がかかることがあります。
  • 事業への影響を最小限に抑える: 顧客への重要な通知メール、パスワードリセットメール、予約確認メールなど、メールが送れないことでビジネスプロセスが滞り、売上や顧客満足度にも悪影響が出かねません。

代替サービスの検討と移行のポイント

では、具体的にどのような代替サービスがあるのでしょうか。そして、Bubbleでそれらのサービスをどう利用すればよいのかを見ていきましょう。

検討すべき代替メール配信サービス

SendGrid以外にも、無料枠を提供している、あるいは安価で利用できるメール配信サービスは複数存在します。
以下に代表的なものを紹介します。

検討すべき代替メール配信サービス

SendGrid以外にも、無料枠を提供している、あるいは安価で利用できるメール配信サービスは複数存在します。
以下に代表的なものを紹介します。

  1. Postmark
    • 特徴: トランザクションメール(パスワードリセットなど個別の通知メール)に特化しており、高い配信到達率が評価されています。Bubbleフォーラムでは、おすすめされていることが多いですね。
    • 無料枠: 開発者ティアで毎月100通まで無料。
    • 料金例: 月額15ドルから(10,000通)。
    • 注意点: 過去に大規模ユーザー向けに**料金体系の変更(値上げ)**があったとのユーザー報告があり、特に複数のサーバーを運用している場合は高額になる可能性があります。これは、PostmarkがActiveCampaignに買収された後に、レガシーな料金プランが新しいサーバー数ベースのプランへ移行を促されたことが原因と見られます。
    • 公式リンク: Postmark
  2. Resend
    • 特徴: 新興のサービスで、開発者フレンドリーな設計が特徴です。
    • 無料枠: 毎月3,000通まで無料。
    • 料金例: 月額20ドルから(50,000通)。
    • 受信メールルーティング: 公式情報からは確認できませんでした。主に送信に特化していると考えられます。
    • 公式リンク: Resend
  3. SMTP2Go
    • 特徴: 信頼性の高いSMTPリレーサービスで、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。
    • 無料枠: 月間1,000通まで無料(1日200通、1時間25通の制限あり)。
    • 料金例: 月額79ドルから。
    • 受信メールルーティング: 公式情報からは確認できませんでした。主に送信に特化していると考えられます。
    • 公式リンク: SMTP2Go
  4. AWS SES (Amazon Simple Email Service)
    • 特徴: Amazonが提供するメールサービスで、非常に低コストで大量のメール送信が可能です。ただし、設定には専門知識が必要な場合があります。
    • 無料枠: 初回利用から12ヶ月間、毎月3,000通まで無料(送受信両方に適用)。
    • 料金例: 送信メールは1,000通あたり0.10ドル。
    • 受信メールルーティング: 受信メールの処理にも料金が発生しますが、S3バケットへの保存やLambda関数との連携が可能です。
    • 公式リンク: AWS SES
  5. Mailgun Send
    • 特徴: 開発者向けの堅牢なAPIを提供し、大量送信からトランザクションメールまで幅広く対応しています。
    • 無料枠: 1日100通まで無料、受信ルート1つ付き。
    • 料金例: 月額15ドルから(10,000通)。
    • 受信メールルーティング: 無料プランでも1つの受信ルートが利用でき、有料プランではフルアクセス可能です。
    • 公式リンク: Mailgun Send

6.SendGrid (日本版 – 構造計画研究所)

  • 特徴: SendGridの日本国内正規代理店である構造計画研究所が提供しており、日本語でのサポートが充実しています。海外版とは異なる独自の無料プランや法人契約の仕組みがあります。
  • 無料枠: 1日あたり100通まで無期限で利用可能(海外版の60日間トライアルとは異なります)。
  • 料金例: エッセンシャルプラン50Kで月額3,000円から(5万通)。
  • 注意点: 以前の月間12,000通の無料枠から、2024年4月1日より1日100通に制限が変更されています。また、主に法人契約が対象となる点にも注意が必要です。
  • 公式リンク: SendGrid (構造計画研究所)

Bubbleでのメール連携方法

SendGrid以外のサービスに移行する場合、Bubbleでこれらのサービスと連携するには、主に「API Connector」機能を利用することになります。

  1. API Connectorの利用:
    • ほとんどのメール配信サービスは、メール送信用のAPIを提供しています。BubbleのAPI Connectorを使えば、これらのAPIエンドポイントを直接呼び出すことが可能です。
    • 各サービスのAPIドキュメントを参照し、認証情報(APIキーなど)やリクエストの形式(JSONデータなど)を設定します。
    • 例えば、ユーザー登録時の確認メール送信や、フォームからの問い合わせ送信など、これまで「Send email」アクションを使っていた箇所を、API Connectorで設定した新しいアクションに置き換える形になります。
  2. 専用プラグインの検討:
    • 一部のサービス(例:Resend、Postmark)には、Bubbleの公式またはコミュニティ製のプラグインが存在する場合があります。プラグインを利用すれば、API Connectorよりも簡単に設定できるケースが多いです。
    • ただし、プラグインが提供する機能が、皆さんのニーズと合致するかどうかは確認が必要です。より複雑なカスタマイズが必要な場合は、API Connectorの利用が推奨されます。

移行のポイント:ワークフローのモジュール化

今回の変更を機に、メール送信のワークフローを見直すことが、お勧めです。
例えば、「Send email」アクションを直接多数の場所に散りばめるのではなく、「メール送信」という単一のカスタムワークフロー(Backend Workflow)を作成し、その中にAPI呼び出しをまとめるといった方法です。

こうすることで、将来的にメール配信サービスを変更する必要が生じた際も、この単一のカスタムワークフローの中身だけを変更すればよく、アプリケーション全体の修正箇所を大幅に減らすことができます。


Apptalenthubからのアドバイス

中小企業の経営者の皆様にとって、日々の業務に追われる中でシステムの改修は大きな負担かもしれません。正直僕も、めんどくさいなーとは思います。ただ、しかし、メール機能は顧客との重要な接点になります。
代替えとして、もっとも本命なのは、同じサービスが使えるSendGrid (構造計画研究所) なのでしょうが、若干、法人審査があったり、管理画面が独自仕様になっているので、使い勝手的には、海外サービスを使う方が楽かもしれません。

今回のSendGrid無料プラン終了は、単なるコストの問題だけでなく、皆さんのビジネスにおけるメール戦略を見直す良い機会です。

  • 早めの情報収集と計画: どのサービスが自社に最適か、無料枠で足りるのか、将来的な拡張性はどうかなど、今のうちに情報収集を行い、移行計画を立てましょう。
  • 専門家への相談: 「API連携は難しそう」「どのサービスが良いか分からない」といった場合は、ノーコード開発の専門家や、Apptalenthubのようなサポート企業にご相談いただくのも一つの手です。

AppTaletHubでは、未来採用をキーワードに、これからの企業のDXを支援していきます。DXの人材紹介など、ありましたらお気軽に問い合わせ窓口まで。

この記事を書いた人

宮崎翼

愛媛県出身・東京都在住。
国立工業高専(新居浜工業高等専門学校)卒業後、外資系ソフトウェア企業などで法人営業・IT導入支援に従事し、BtoB領域で多様な新規開拓やエンタープライズのDX推進を経験。

現在は「AppTalentHub」の理念、ノーコード/ローコードを活用したアプリ開発の標準化と、エンジニアのスキルの可視化による適正評価を実現するためのプロジェクトやコミュニティ運営に取り組んでいます。
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