Claude Codeを使っていて、こんな経験はありませんか?
「毎回リリース作業で同じ手順を繰り返している」「新しいプロジェクトを始めるたびに、同じディレクトリ構成を手動で作っている」「デプロイのたびにコマンドを調べ直している」
こうした繰り返しの作業を自動化するために、世の中にはたくさんのスキルやプラグインが公開されています。しかし、本当に必要なのは「誰かが作った汎用ツール」ではなく、「自分の作業パターンに最適化された仕組み」ではないでしょうか。
この記事では、私たちが実際に行った「自分のClaudeセッション履歴を全量分析して、オリジナルのスキル・エージェントを自動生成する」という手法をご紹介します。
発想の転換:「探す」から「自分の履歴から作る」へ
Claude Codeには公式マーケットプレイスがあり、29個以上のプラグインが公開されています。hookify(ルールエンジン)、feature-dev(7フェーズ開発ガイド)、commit-commands(Git操作自動化)など、便利なツールが揃っています。
しかし、これらはあくまで汎用ツール。自分の業務パターンにぴったりフィットするものは、自分で作るしかありません。
そこで着目したのが、Claude Codeが自動的に保存しているセッション履歴(jsonlファイル)です。Claude Codeでは、すべての会話がローカルにログとして保存されています。この履歴こそが「自分が普段何をしているか」の完全な記録であり、自動化のヒントの宝庫なのです。
実践:457セッション・約800MBを全量分析
今回の分析対象は、2026年2月10日から3月9日までの約1か月間に蓄積された457セッション(約800MB)。これに加えて139個のプランファイル、既存スキル4個・プラグイン31個も含めて、全量を分析しました。
具体的な手順は以下の通りです。
Step 1:セッション履歴の場所を特定し、並列で探索
まず、Claude Codeにプランモードで「自分のセッション履歴を全量分析して、スキル・プラグイン・エージェント・CLAUDE.mdのどれで仕組み化すべきかを仕分けて」と指示します。

Claude Codeは複数のExploreエージェントを並列で起動し、以下を同時に調査します。
- セッションログの探索:jsonlファイルの場所と内容を特定
- メモリ・設定の確認:既存のMEMORY.md、CLAUDE.md、設定ファイルを確認
- プロジェクト構造の把握:全プロジェクトのディレクトリ構成・技術スタック・デプロイ先を整理
- 行動パターンの抽出:セッション内容から「何を」「どのくらいの頻度で」やっているかを分析
- 既存スキル・プラグインの棚卸し:すでに自動化されているものを確認
- プランファイルの分析:計画ファイルから暗黙的なパターンを抽出
Step 2:行動パターンの抽出結果
分析の結果、以下の行動パターンが明らかになりました。
| 行動パターン | 頻度 | 現状 |
|---|---|---|
| ソフトウェア開発(React/Next.js/Electron/Firebase) | 45% | 手動 |
| UI/UXの反復的な微調整 | 30% | 手動 |
| バグ修正・機能追加 | 15% | 手動 |
| デプロイ・リリース管理 | 7% | 手動 |
| WordPress記事投稿 | 頻繁 | 自動化済み |
| 朝礼・進捗確認 | 毎日 | 自動化済み |
| Git commit → push → PR作成 | 30回+ | プラグイン済み |
ポイントは、すでに自動化されているもの(WordPress操作、朝礼、Git操作)と、まだ手動のものが明確に分かれたことです。特に「デプロイ・リリース管理」は手順がMEMORY.mdに書かれていながら毎回手動実行されており、自動化の効果が大きいことが分かりました。
Step 3:4つのカテゴリに仕分け
分析結果をもとに、Claudeが自動で「何をどの仕組みで自動化すべきか」を仕分けます。

仕分け先は以下の4カテゴリです。
A. スキル(/コマンド)
ユーザーが明示的に呼び出す、定型的な複数ステップのワークフロー。「/release」「/new-project」「/deploy」「/seed」の4つが提案されました。

例えば /release スキルは、これまでMEMORY.mdに「6ステップのルール」として書かれていたリリース手順を、引数一つ(patch/minor/major)で全自動実行するコマンドに変換したものです。
B. CLAUDE.md(自動適用ルール)
明示的な呼び出しなしに、常に自動適用される規約・制約・パターン。「デザインシステム」「Electron共通パターン」「Firebase構成ルール」「コードレビュー品質基準」の4つが提案されました。

特にデザインシステム規約は、LP制作のたびに「白ベースで#538bb0をプライマリカラーにして」と口頭指示していたものを、CLAUDE.mdに明記することで指示なしに自動適用されるようになりました。
C. エージェント(自律実行タスク)
判断を伴う複合タスクで、人間の介入を最小限にして自律実行するもの。「リリースノート自動生成」と「SERVICE_SPEC.md整合性チェック」の2つが提案されました。

D. hookifyルール(セーフガード)
既存のhookifyプラグインを活用し、「.envファイルのコミット防止」「git push –forceのブロック」「console.logの残存警告」の3つのルールを設定。設定するだけで即座にセーフガードが強化されます。
実装結果:10施策を優先順位付きで一括実装

仕分けが終わったら、あとはClaudeに「このプランを実装して」と指示するだけ。スキルファイルの作成、hookifyルールの設定、CLAUDE.mdへの規約追記、MEMORY.mdの更新をまとめて実行し、約10分で全10施策が稼働状態になりました。
なぜ「履歴から作る」が最強なのか
1. 100%自分に最適化されている
汎用プラグインは「誰にでも使える」ように設計されています。一方、履歴から生成されたスキルは、自分のプロジェクト構成・技術スタック・ワークフローに完全にフィットしています。
例えば今回の /release スキルは、「AppTalentHubのプロダクトがElectron/Next.js/Vite/Expoの4種類あり、それぞれビルド方法が異なる」という固有の事情を考慮した設計になっています。汎用のリリースツールでは対応できない部分です。
2. 「暗黙知」が自動的に明文化される
セッション履歴には、自分でも気づいていない反復パターンが含まれています。今回の分析では「LP制作の40%で同じデザインシステムを口頭指示している」「計画ファイルの95%に同じ検証手順が含まれている」といった暗黙知が発見され、CLAUDE.mdのルールとして明文化されました。
3. 探す時間がゼロ
プラグインマーケットプレイスを眺めて「これ使えるかな?」と検討する時間が不要です。自分の履歴が「何を自動化すべきか」を直接教えてくれるので、必要な機能だけをピンポイントで作れます。
やり方まとめ:3ステップで始められる
この手法は、Claude Codeを使っている方なら誰でも今すぐ始められます。
Step 1:Claudeに履歴分析を依頼
プランモードで以下のように指示します。
このPC内にあるClaudeの全セッション(チャット履歴)を解析して。
私が普段何をしているのかを整理した上で、
「スキル」「プラグイン」「エージェント」「CLAUDE.md」
のどれとして自動化・仕組み化すべきか、仕分け案を出して。
Step 2:仕分け結果をレビュー
Claudeが出してきた仕分け案を確認します。「これは確かに毎回やっている」「これは頻度が低いから後回し」など、自分の感覚と照らし合わせて優先順位を調整します。
Step 3:プランを実装
プランモードを解除し、「このプランを実装して」と指示するだけ。Claudeがスキルファイル、hookifyルール、CLAUDE.mdの追記をすべて自動実行します。
おわりに
スキルやプラグインは「探すもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、Claude Codeの真の強みは「自分の作業を自分で観察し、自分のための仕組みを自分で作れる」というところにあります。
今回の実験では、1か月分のセッション履歴からスキル4個・hookifyルール3個・CLAUDE.mdルール4セクションが生成されました。これらはすべて、外部から持ってきたものではなく、自分の作業パターンから自然に生まれた「自分専用の仕組み」です。
あなたのClaude Codeにも、まだ眠っている「自動化の種」があるかもしれません。一度、自分の履歴を分析してみてはいかがでしょうか。



