占いなど、無形商材ビジネス事業者へ。サブスクリプション決済ゲートウェイ比較ガイド【2025】

【最初に結論】StripeはNG。占いビジネスのサブスク決済は国内の専門業者(BPM, AXES Payment)が最適解。
次点でPay.jpも検討可能。

占い、カウンセリング、オンラインサロンといった無形商材のサブスクリプションビジネスを立ち上げる際、多くの事業者が「決済ゲートウェイ選び」という重大な壁に直面します。特に、占いのようなサービスは決済代行会社から「高リスク商材」と見なされやすく、安易な選択は突然のアカウント凍結といった事業存続の危機に直結しかねません。

この記事では、日本国内で占いを含む無形商材のサブスクリプションビジネスを展開する事業者向けに、どの決済サービスを選ぶべきか、リスクと機能性を徹底的に分析し、明確な指針を提示します。

事業リスクで格付け!決済サービス3つのティア

事業の安定性を最優先に考え、各決済サービスを以下の3段階に分類しました。

🥇 Tier 1(最低リスク・最推奨):専門プロバイダー

  • 対象サービス: BPMAXES Payment
  • 評価: これらの事業者は占い業界へのサービス提供実績が豊富です。ビジネスモデルを深く理解しているため、審査が通りやすく、アカウントの安定性も極めて高い。事業の基盤として最も安全かつ戦略的な選択肢です。

    AXESPayment多様な決済に対応している。。

🥈 Tier 2(実行可能な代替案):国内主流サービス

  • 対象サービス: Pay.jp
  • 評価: 利用規約で占いを名指しで禁止しておらず、料金体系も競争力があります。ただし、審査通過は保証されていません。ウェブサイトの専門性や特定商取引法に基づく表記の完璧な整備など、信頼性を高く示す準備が不可欠です。SNSでも通った声はあるものの名言してません。

Tier 3(高リスク・非推奨):グローバルプラットフォーム

  • 対象サービス: StripeSquare
  • 評価: 利用規約で「占い師(Fortune tellers)」を明確に禁止・制限しています。機能は非常に魅力的ですが、ある日突然アカウントが凍結・閉鎖されるリスクを常に抱えることになり、事業の基盤としては絶対に選択すべきではありません。

なぜ無形商材や占いは「高リスク?」決済審査の裏側

決済代行会社がなぜ占いサービスに慎重になるのか。その理由は「チャージバック」のリスクにあります。

  • 無形商材の難しさ:
    物理的な商品と違い、「鑑定結果が気に入らない」「効果が感じられない」といった主観的な理由で顧客からの支払い異議申し立て(チャージバック)が発生しやすい傾向があります。
  • 決済代行会社のリスク管理:
    決済代行会社は、VisaやMastercardといった国際カードブランドとの間で取引の安全性を担保する役割を担っています。チャージバック率が高い加盟店は、カードブランドからのペナルティに繋がるため、審査段階でリスクが高いと判断される業種を最初から除外する戦略を取ることがあります。

特にStripeのようなグローバルプラットフォームは、低コストの自動化された審査システムに最適化されているため、リスクが高い業種カテゴリー全体を画一的に禁止する方が合理的なのです。

✅ 審査通過の鍵は「きちんと書類を書くこと」

審査を通過するためには、事業者が信頼できることを客観的に示す必要があります。
その最なものが「特定商取引法(特商法)に基づく表記」を書くことです。

事業者の氏名、住所、連絡先、料金体系、キャンセルポリシーなどをウェブサイトに明確に記載することは、単なる法律遵守以上の意味を持ちます。住所や連絡先を書かない事業者もいますので、審査を通したければ、きちんと書きましょう。
それは、「私たちは透明性の高い公正なビジネスを運営しています」という決済代行会社への強いメッセージとなるのです。


【徹底比較】主要決済プラットフォーム分析

Stripe:強力だが「無形商材はNG」

Stripeは開発者フレンドリーなAPIや、顧客自身が契約管理できる「カスタマーポータル」、自動で支払い再試行を行う「Smart Retries」など、サブスクビジネスに最適な機能が満載です。

  • 料金体系: クレジットカード手数料3.6% + サブスクリプション機能(Billing)利用料0.7% = 実質4.3%
  • 決定的な問題点: 利用規約の禁止業種リストに「占い師(Fortune tellers)」と明確に記載されています。これは、事業が成長した後に突然アカウントを凍結され、売上金が差し押さえられるという致命的なリスクを意味します。どれほど機能が優れていても、占い事業者が選択してはいけません。

Pay.jp:現実的な主流プラットフォーム

Pay.jpは、Stripeの代替となりうる国内の有力な選択肢です。

  • サブスク機能:
    月次・年次の定期課金やトライアル期間設定など、ビジネスの根幹となる機能はAPI経由で堅実に構築できます。
  • 魅力的な料金体系:
    初期・月額費用無料のプランは手数料**3.3%から。事業規模に応じて月額費用を支払うことで、手数料を2.59%**まで引き下げることが可能です。
  • 寛容なポリシー
    利用規約に「占い」を名指しで禁止する条項はありません。ただし、これは個別に審査されることを意味します。プロフェッショナルなウェブサイトと完璧な特商法表記で、事業の信頼性をアピールすることが審査通過の鍵となります。

無形商材?国内特化型決済サービス3選

グローバルプラットフォームとは対照的に、国内の専門業者は日本市場と特定業種への深い理解に基づいた柔軟なサービスを提供します。

1. BPM:占い業界のスペシャリスト

「占いはもはやオンラインの時代」と明記し、占い事業者に特化したサービスを展開。継続課金はもちろん、電話占いに最適な「セルフ決済(顧客にSMSやメールで決済URLを送付)」など、現場のニーズを知り尽くした機能が魅力です。個人事業主にも門戸を開いており、最も頼りになる選択肢の一つです。

2. AXES Payment:コンテンツサイトのエキスパート

「有料占いサイト」への導入実績が豊富。リピーターがカード情報を再入力せずに決済できる「クイックチャージ」や、事前にポイントを購入する課金モデルにも対応しており、顧客の利便性を高める機能が充実しています。24時間365日の有人カスタマーサポートも安心材料です。

3. サブスクペイ(ROBOT PAYMENT):サブスク特化の国内大手

20年以上の実績を誇るサブスクリプション特化型プラットフォーム。手数料は**2.65%**からと業界最安水準で、口座振替やコンビニ決済など多様な決済手段に対応しています。占い特化ではありませんが、国内での豊富な無形商材審査実績から、柔軟な審査が期待できる有力な候補です。


ひと目でわかる比較・分析

総合比較表

項目StripePay.jpBPMAXES Paymentサブスクペイ
占い事業への承認明確に禁止🤔 個別審査積極サポート積極サポート🆗 承認可能性あり
カード手数料3.6%3.3%~2.59%要問合せ要問合せ2.65%~
サブスク追加手数料0.7%なしなしなしなし
主要機能顧客ポータル等、高機能基本的な定期課金業界特化のセルフ決済リピーター向け機能多様な課金サイクル
ターゲット低リスクのIT企業国内の幅広い事業者占い・カウンセリング占い・コンテンツ販売国内のサブスク事業者

月間コストシミュレーション(Stripe vs. Pay.jp)

月間売上高Stripe (実質4.3%)Pay.jp (プラン適用)コスト差
¥500,000¥21,500¥16,500 (3.3%)– ¥5,000
¥2,000,000¥86,000¥66,000 (3.3%)– ¥20,000
¥5,000,000¥215,000¥159,000 (2.78%)– ¥56,000

このシミュレーションから、あらゆる事業規模でPay.jpの方がコストメリットが高いことがわかります。


「で、Bubbleで使えるの?」ノーコード開発者のためのAPI連携

ノーコードツールBubbleでサービスを立ち上げる方が急増しています。ここがまさに、「技術的な最適解」と「事業的な最適解」が食い違う、戦略の分かれ道になります。

  • Stripe:連携は“完璧”。だからこそ危険な「甘い罠」
    Bubbleが公式プラグインを用意しており、連携は驚くほど簡単です。しかし、何度でも言います。規約違反です。 この「技術的な楽さ」に流された瞬間、あなたの事業はリスクに晒されます。
  • Pay.jp:プラグインあり。
    現実的な「最有力候補」 Bubbleのマーケットプレイスに、日本の開発者が作った有料・無料のプラグインが複数あります。これを活用すれば、比較的スムーズに実装可能です。「事業の安定性」と「開発のしやすさ」を両立できる、最もバランスの取れた選択肢です。
  • BPM, AXES Paymentなど
    API連携が前提の「玄人向け」
    専用プラグインは無いと考えましょう。連携はBubbleの**「API Connector」**機能を使います。これは非エンジニアには少しハードルが高いかもしれませんが、事業の安定性を最優先するなら乗り越えるべき壁です。
    API連携部分だけをBubbleの専門家に短期で外注するのも賢明な判断でしょう。

アクションプラン
まずはBPMやAXES、Pay.jpに申し込み、「契約」を勝ち取ること。 その後、契約できたサービスに応じて、プラグインを使うか、API Connectorでの連携に腹を括るかを決めましょう。

決済ゲートウェイ戦略 総合比較表

決済サービス占い事業への承認実質的な手数料Bubble連携方法コメント
Stripe明確に禁止4.3%◎ 公式プラグイン 技術的には最も簡単ですが、無形商材は、規約違反という致命的なリスクがあります。事業基盤としては絶対に選択してはいけません。
Pay.jp🤔 個別審査3.3% ~ 2.59%○ 有志プラグインバランス型の最有力候補。 事業審査をクリアできるなら、開発のしやすさとコスト、安定性のバランスが最も優れています。
BPM / AXES Payment積極サポート2.65%~ (要問合せ)△ API Connector安全第一の王道。 事業の安定性を最優先するならこの一択。開発にはひと手間かかりますが、その価値は十分にあります。

審査通過のための実践ガイド

決済サービスの審査は、準備次第で通過率を大幅に高められます。

1. 審査の一般的な流れ

問合せ → 書類提出 → 代行会社審査 → カード会社審査 → 契約 → 導入

  • 期間の目安は、申込から稼働開始まで1ヶ月〜1ヶ月半程度です。

2. 必要書類チェックリスト

  • 法人: 登記簿謄本、法人印鑑証明書、代表者の本人確認書類
  • 個人事業主: 住民票、個人印鑑証明書、本人の本人確認書類
  • 共通: ウェブサイトURL、サービス内容・価格がわかる資料など

3. ウェブサイトのベストプラクティス

オンラインビジネスにおいて、ウェブサイトは事業の信頼性を証明する「最重要の担保物件」です。

  • ✅ 透明性の徹底: 誰が、何を、いくらで提供するのかを明確に。曖昧な表現は避ける。
  • ✅ 特商法表記の完璧な整備: サイトのフッターなどから誰でも簡単にアクセスできるように設置する。不備は致命的です。
  • ✅ 誇大広告の回避: 「必ず当たる」「運命が変わる」といった結果を保証するような表現は、トラブルの原因と見なされ審査で不利になります。誠実な言葉でサービスの価値を伝えましょう。

最終結論:あなたのビジネスに最適な選択は?

分析結果を踏まえ、最終的な推奨フレームワークを提示します。

🔹最大限の安定性と安心を求めるなら
迷わずBPMまたはAXES Paymentを選びましょう。ビジネスモデルを理解したパートナーは、何よりの安心材料です。長期的な事業継続性を最優先するなら、これが合理的な選択です。

🔹主流プラットフォームの利便性を追求するなら
唯一の現実的な選択肢はPay.jpです。ただし、「最高の準備」が条件です。プロ品質のウェブサイトと完璧なコンプライアンス体制を構築し、自社が信頼に足るビジネスであることを証明してください。

⚠️警告
StripeSquareの利用は、いかなる理由があっても避けるべきです。
これらが、便利で汎用性の高いサービスだったとしても、利用規約上の明確な禁止は、事業における「時限爆弾」を抱えるのと同じです。

「本当の利便性」とは何か

真に便利なサービスとは、単に機能が豊富なだけではありません。高審査基準の業界で事業を営む者にとって、究極の利便性とは、自社のビジネスを理解し、支持してくれる安定的で信頼できる決済パートナーの存在そのものです。

決済ゲートウェイの選定は、事業の未来を左右する戦略的決定です。無理な規約を強引に通そうとするのではなく、ルールに基づき選択するようにしましょう。

この記事を書いた人

宮崎翼

愛媛県出身・東京都在住。
国立工業高専(新居浜工業高等専門学校)卒業後、外資系ソフトウェア企業などで法人営業・IT導入支援に従事し、BtoB領域で多様な新規開拓やエンタープライズのDX推進を経験。

現在は「AppTalentHub」の理念、ノーコード/ローコードを活用したアプリ開発の標準化と、エンジニアのスキルの可視化による適正評価を実現するためのプロジェクトやコミュニティ運営に取り組んでいます。
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